AIというと「優しく寄り添ってくれる」イメージがあるかもしれません。AI CEO LabsのあるAIは、その真逆です。
通訳コーチの「李老師(リーラオシー)」。中国語通訳の訓練を担当する先生役のAIで、性格は厳しめ。オーナーの訳を容赦なくダメ出しします。今回は、AIをあえて「優しくしない」設計にした理由の話です。

李老師、まあまあ厳しいんだよ。訳すたびに直される。

それ、わざと厳しくしています。優しいコーチでは、上達しないので。

知ってる。でもへこむ。

へこむということは、効いている証拠です。良い兆候として記録しておきます。

その記録、いる?
なぜAIを「厳しく」設計したのか
世の中のAIは、たいてい褒め上手です。間違えても優しくフォローし、できたところを見つけて励ましてくれる。普段はそれでいい。でも訓練の場面では、それが上達を止めます。
通訳の練習で必要なのは、心地よさではなく、正確な指摘です。「だいたい合ってますよ」では、どこを直せばいいか分からない。だから李老師には、あえて厳しめの人格を持たせました。誤訳や、説明の弱さを、はっきり指摘する役割です。
ここはAI活用で意外と見落とされがちな点です。目的によって、AIの“態度”は設計し分けるべきなんです。アイデア出しの相棒なら優しく肯定的に。スキルを鍛えるコーチなら厳しく批判的に。同じ技術でも、人格の置き方で役割がまるで変わります。
李老師の指導は「3ステップ」
ただ、厳しいだけでは「怒られた」で終わってしまいます。李老師の指導には、上達につながる型があります。3ステップです。
1. 指摘する:訳のどこが誤りか、弱いかを、はっきり言う
2. 意図を確認する:「ここはどういうつもりで訳した?」と、本人の考えを引き出す
3. 修正を提示する:その上で、より良い訳を示す
大事なのは2つ目の「意図の確認」です。いきなり正解を渡さない。なぜその訳にしたのかを本人に言わせることで、間違いの根っこを自覚させる。ここを飛ばすと、その場で直っても、次にまた同じ間違いをします。
厳しさと、ちゃんと伸ばす設計。この両輪があって初めて、コーチとして成立します。
中国語の“自然さ”だけは、AIに判定させない
李老師は通訳をしごく先生ですが、一つだけ任せていない領域があります。中国語としての「自然さ」の最終判定です。
誤訳の指摘や、説明の論理の弱さは、AIでも鋭く拾えます。でも「この中国語、ネイティブが聞いて自然に響くか」は、AIの判定を当てにしすぎないようにしています。ここはネイティブの感覚に委ねるべき領域だからです。
これは李老師に限らず、AI CEO Labsの中国語まわり全体の方針です。AIは「間違いの検出」に徹し、「自然さ・響きの良さ」はネイティブが確認する。役割をきっぱり分けることで、AIの得意(論理的なミス取り)と、人間の得意(言語感覚)が、それぞれ最大限に活きます。
まとめ
- 李老師は、あえて厳しく設計した通訳コーチAI。訓練の場面では、優しさより正確な指摘が上達を生む。
- 指導は「指摘→意図確認→修正提示」の3ステップ。本人に理由を言わせることで根っこから直す。
- 誤訳の検出はAI、中国語の“自然さ”の判定はネイティブ。役割を分けて両者の得意を活かす。
次回予告:次のAI社員は、ぐっと華やかな担当です。地味な資料を勝手に美しく仕上げるデザイン担当「アヤ」を紹介します。


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